最近、ニュースで「物流の2024年問題」という言葉をよく聞く。「物流の2024年問題」とは、簡潔に言えば、物流の担い手が不足する問題のこと。
でも、「そもそも物流とは何か?」「なぜ物流の担い手が不足するのか?」を理解できているだろうか?
物流の担い手が不足する要因としては、法改改正、達回数の増加、労働人口の減少が挙げられる。
本記事では、物流の定義、物流の担い手不足の原因をデータに基づいて解説する。
最新のトレンド「物流の2024年問題」を理解しよう。
目次 閉じる
物流とは?
「物流の2024年問題」を説明する前に、そもそも物流とは何かを理解しよう。
物流の定義を理解することで、問題の解像度が上がる。
サプライチェーン
物流を理解する上で、“サプライチェーン”の概念は欠かせない。
サプライチェーンとは、調達~顧客までのモノの流れのこと。
物流は、拠点間を移動するときに発生するモノの流れのことを意味することが多く、大きく2種類に分類される。
輸送:拠点の間で貨物を移動すること
配送:顧客への届け先まで貨物を移動すること
実際には、拠点内のモノの流れや顧客から会社へのリサイクルを物流と呼ぶこともある。
ここでは、物流=モノの流れと簡単に覚えておこう。
ロジスティクス
物流と混同されがちな概念として、”ロジスティクス”がある。
ロジスティクスとは、調達から顧客までのモノの流れを効率化すること。例えば、商品の追跡や在庫管理の自動化などがある。
ロジスティクスの一部に物流があり、物流を効率化することもロジスティクスの機能の1つ。
ロジスティクスは、物流より広い意味なんだね。
物流の2024年問題とは?
ここからは、”物流の2024年問題”を見ていく。
物流の担い手が不足する要因として、法改正、配達回数の増加、労働人口の減少を順に見ていこう。
法改正
2024年4月に法改正が行われ、物流業者の”1年の拘束時間”、”1カ月の拘束時間”、”1日の休息期間”が見直された。
このように、法改正により、物流業者の労働時間の制限が厳しくなった。
この法改正に対し、法改正前の物流業者の実態はどうなっているのか?以下は、厚生労働省が発表した、2021年における物流業者の労働実態を調査した結果。
2021年時点において、“1年の拘束時間”は約30%、”1カ月の拘束時間”は約45%、”1日の休息時間”は約40%の物流業者がそれぞれ、法改正の基準を満たしていない。その分の労働力を補填する必要があった。
これが、いわゆる“物流の2024年問題”だ。
最新の実態は明確にはなっていない。しかし、2021年時点でこれだけ多くの物流業者が基準を満たしていなかった実態を踏まえると、法改正への対応ができていない業者がいても不思議ではない。
3つの項目のいずれにおいても、新しい法律に対応できていない業者がいるんだね。
配達回数の増加
以下は、トラックの宅配便取り扱い個数と自動車の年間輸送量の関係を表したグラフ。
自動車による輸送量は年々減少する一方で、宅配便の取り扱い個数は年々増加。宅配便の取り扱い個数はここ20年程で約2倍になっていることがわかる。
これはECの普及により、小物商品の発注量が増加したことが要因と考えられる。
宅配便の取り扱い個数が増えるということは、配達回数が増えるということを意味しており、より多くの物流の担い手が必要になる。
私たちの生活の中で、宅配便がより身近になってきているね。
労働人口の減少
以下は、道路貨物運送業の運転従業者数の推移を表したグラフ。
現役世代である15~64歳は生産性年齢と呼ばれる。
今後、少子高齢化が進み、日本の生産年齢の人口は減少することが予測されている。それに伴い、運転従業者の人口も減少していくと予想される。
労働人口の減少は色々な業界に影響が出ているね。
物流の人手不足は深刻化
本記事では、物流の定義、物流の担い手不足の原因をデータに基づいて解説してきた。
このように、以下3つの要因で物流の人手不足が深刻化してきている。
ドライバー不足の要因
①法改正:2021年時点で、2024年4月の法改正の主要3項目に対し、基準を満たしていない物流業者が30%以上。
②配達回数の増加:宅配便の取り扱い個数はここ20年程で約2倍となり、配達回数が増加してきている。
③労働人口の減少:少子高齢化に伴い、運送従業者の減少が予測される。
今後、物流の効率化、自動化の需要がさらに高まっていくだろう。
物流の効率化・自動化には、Amazonが意欲的に取り組んでいるね。
ではまた!